遊園地やプロ野球観戦などで、価格変動制チケットの導入が拡大しています。これは、新型コロナウイルスの影響が長引く中、入場者数を分散化して「密」を回避するとともに、収益の安定化につながると見込まれています。客が少ない日は割安になるため、ファン獲得のきっかけになるとの期待も高まっています。
ぴあ総合研究所の調べでは、2020年3月から1年間の国内チケット市場はコロナ前に比べ約4分の1に縮小しました。こうした中で、需要に応じて価格を変える「ダイナミックプライシング(DP)」のチケットは普及しています。AIを用いてDPサービスを手掛ける三井物産系のダイナミックプラスによると、21年度のDPチケットの流通額は約62億円と前年度比1.5倍に膨らむ見通しです。
DPチケットは、開催日直前まで価格が変動するのが特徴でダイナミックプラスの平田英人社長は「価格の選択肢が広がることで新規客増加が見込め、転売抑制にもつながる」と説明しています。22年はプロ野球で6球団が一部試合に導入、サッカーJリーグでは試験導入を含め、16クラブがDPチケットを扱います。DPを導入したスポーツイベントでは1~3割収益が増えたそうです。
休日に入場者が集中しやすい遊園地でも変動価格制が広がっています。富士急ハイランドは4月、当日窓口販売のフリーパスでDPを導入し、6月にはオンラインにも広げます。サンリオピューロランドでは4月、日ごとに価格が異なる料金体系に改めます。
東京ディズニーリゾートは、昨年から発売時の価格を4段階に設定し、「収益を安定させる効果もある」(広報)と言っています。鉄道やバスなどの運輸、小売りでもDPの実証実験が進められており、幅広い分野で普及しそうです。
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