現在、各大学は数多の難題に悩まされていることだろう。もちろんコロナによるオンライン化などの課題もあることだろう。ただそれ以上に心配なのが、アフターコロナの事態が落ち着いた際におこるであろう危機だ。それがデモグラフィック危機と呼ばれるものだ。これは、厳しくなりつつある授業料等収入面と高騰し続ける支出面を今後どう巧みにやりくりしていくのかということだ。言い換えれば、大学機関は現在、需要ショックと供給ショックに直面しているのだ。
供給サイド
多くの大学キャンパスに学生が戻ってこれない以上、寮費の落ち込みは避けれない。加えて、その他の副次的な収入(キャンパスストアやダイニングホール・寄付金など)も大きく落ち込んだ。さらに、オンライン授業に移行した影響で授業料のディスカウントを行われた。オンライン授業や休学を選んだ学生の存在により、授業料収入も落ち込んだ。こうした複合的な収入減が供給サイドの問題として浮上しているのだ。さらに今後大学授業料を払えないような家庭が増加するという人口動態変化を鑑みると、ビジネスモデルの転換を迫られているのは明白だ。
需要サイド
想定よりもずっと早く到来したのが需要ショックである。コロナ感染拡大により失業率は悪化し、パンデミック前の水準に戻るのは10年以上かかるという推計さえ出ている。この変化が何を暗示しているかは明確だ。各大学は入学者数の目標値を達成するために、授業料の値下げを行わざるを得なくなるというシナリオだ。実際的なやり方は、授業料を引き上げて貧しい過程には多めの奨学金を支給するなど様々ある。だが下手に価格戦略が行われると、大学が破産しかねないという。
より持続可能性のある生き残り戦略とは?
短期的な生き残りのために、価格破壊を起こすような大学が出てきてもおかしく無いだろう。しかしながらより長期目線で価格戦略を組むとなると、以下のような疑問を投げかける必要があるだろう。
- 何%の価格低下なら許されるだろうか?5%ずつ毎年授業料を下げることは現実的だろうか?
- どれほど現在の価格戦略をあなたは理解できているだろうか?どのような要素が、生徒やその両親を高額な教育費を払ってもよいと思わせているのか?
その上、需要が低下しつつある市場でどう戦い、高騰する費用をどう賄うかという視点を持ち続けるのが大切だ。目先の運転資金だけに囚われず、如何に新たなビジネスモデルをデザインするかが鍵となるのだ。