シンガポールの名物料理として知られるチキンライスは、屋台が集まるホーカーセンターで最も手頃な価格で食べられる料理の一つです。しかしコロナ禍で食料価格が高騰し、その値段が上昇しています。
チキンライス店舗を6つ持つダニエル・タン氏は、ずっと350円ほどで小サイズを提供してきましたが、2020年初頭から現在までに鶏肉は50%値上がりし、野菜の値段は2倍以上になったと語ります。
「当初は、半年か長くて1年くらいのパンデミックだと思っていたので、コスト増分を自分のところで吸収してきたが、電気代の高騰により、一つの店舗で10万円を超える請求書を受け取った時、料理の値上げは避けられないと感じた。そうでなければスタッフへの支払いが滞ってしまう。もしくは店舗を閉めなくてはいけなくなってしまうと判断した。」
また、コロナ禍で外国人の入国が規制され人材は不足したことも影響し、従業員の給料は引き上げられ、人件費もかさんでいます。
シンガポールフードバンクの設立者であり、現在流通業も行っているニコル・ング氏は、今回のインフレは今までと違うと懸念しています。
「以前は、一年のどこかで、もしくは数年に一度、値段が上がることがあったが、今回のインフレは持続しそうで不安だ。いつ終わるのか誰にも予想できない。」
インフレ率が数十年ぶりの高水準に跳ね上がっている北米やヨーロッパと比較すると、アジアの物価上昇は穏やかですが、今年も食料価格が下がる気配はなく、多くの食品メーカーなどが値上げを予定しています。
現場を知る人々にとっては、たとえ穏やかなインフレでもその影響は大きく、今の状態がいつまで続くのだろうか、と不安を募らせる日々が続いている状況となっています。
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