今週の1本目は記事ではなく、とある研究結果からの紹介となります。
マルクスからケインズまで多くの経済学者は資本を「生産手段」とそれを利用する「人間の能力」とに分けて考えましたが、これら全ては万物が依拠する自然という一番重要な要素を無視しています。
1973年、シューマッハーは、その著書『Small
is Beautiful』のなかで初めてと自然資本という言葉を使いました。シューマッハーの言う自然資本とは、土、空気、水、動植物、そしてこれらが提供する生態系全体のことを指します。この生態系は人間や野生生物が受益者の信託基金のようなもので、わたしたちはこれなしに生きていくことはできません。
生態経済学者のコンスタンザと研究チームは2011年に科学誌『Nature』に掲載された論文で、自然資本によるサービスの総額は少なくとも160兆ドル(約1京6,735兆円、インフレ調整済み)に上ると試算しました。これは数十年前から3倍以上に拡大しています。ただ一方で、自然生息地の減少や環境悪化によって毎年5兆から23兆ドル(約523兆〜2,407兆円)の自然資本が失われているとされてもいます。
我々は知らず知らずのうちに依拠している自然の重要性を認識しなくてはなりません。
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