ガンバ大阪が取り組む価格戦略 「価値に応じた価格で、より納得感のあるチケット販売へ」

はじめに

今回は、ダイナミックプラスが提供する「ダイナミックプライシングサービスD+」を導入いただいているガンバ大阪 チケット担当者様にお話を伺いました。

ガンバ大阪では、まずビジター席を対象にダイナミックプライシングを導入し、その後、一部試合では全席種への展開も実施しています。また近年では、個席需要分析にも取り組み、より細かな需要を捉えた価格設計にも挑戦しています。

価格を変動させることだけが目的ではなく、「試合や座席の価値をどのように価格へ反映するのか」「ファン・サポーターの皆さまにどのように理解していただくのか」といった点も含め、試行錯誤を重ねながら取り組みを進められています。

今回は、導入の背景や運用を通じて感じた変化、サポーターの反応などについてお話を伺いました。

Q.ダイナミックプライシングを導入した背景を教えてください。

当時は、いきなり全席種へ導入するのではなく、まずはビジター席を対象に試験的にスタートしました。

理由の一つは、試合によってビジター席の需要差が非常に大きかったことです。人気クラブとの対戦では早期に完売する一方で、それほど需要が高くない試合もあり、すべてを同じ価格で販売することに違和感がありました。

そのため、まずはビジター席からスタートし、運用を重ねながら制度への理解を深めていくことが、クラブとしても現実的な進め方だと考えました。

需要と供給のバランスを考えながら、試合ごとの価値を適切に価格へ反映していく。その第一歩として、ビジター席での導入を決断しました。

Q. 実際に運用してみて、どのような印象を持ちましたか。

導入当初は、「もっと価格が大きく動くのではないか」という印象を持っていました。

しかし実際には、価格が大きく変動する試合は限られており、多くの試合では想像していたよりも穏やかな値動きでした。

もちろん人気カードでは価格が上昇するケースもありますが、それ以外の試合では価格変動は比較的小さく、試合ごとの需要がそのまま価格に反映されている印象を受けています。

価格が動くこと自体よりも、「どの試合で、どの程度需要があるのか」を客観的に把握できる点に価値を感じています。

Q. サポーターの皆さまからは、どのような反応がありましたか。

導入前は、価格が変動することに対してさまざまなご意見やお問合せをいただくことも想定していました。

しかし実際には、大きな混乱やお問い合わせはほとんどありませんでした。

Jリーグでの導入が進んでいること、また近年では、ホテルや航空券など、需要に応じて価格が変動するサービスが一般的になってきています。そのため、ダイナミックプライシングという考え方自体が少しずつ社会に浸透してきていることも影響しているのではないかと感じています。

Q. 全席種へのダイナミックプライシング導入には、どのような狙いがありましたか。

ビジター席での試験的な運用を進める中で、改めて感じたのは、試合ごとの需要には大きな違いがあるということです。

人気カードや注目度の高い試合、イベントを実施する試合などでは、多くのお客様にご来場いただける一方で、それ以外の試合では需要も大きく異なります。

そのような状況で、すべての試合を同じ価格で販売することが、本当に適切なのかという課題意識がありました。

価値の高い試合は、その価値に見合った価格で販売し、一方で比較的購入しやすい価格帯の試合も用意する。試合ごとの価値を価格に反映することで、お客様にもより納得感のある販売ができるのではないかと考えています。

また近年は、試合だけでなく各種イベントや演出にも力を入れており、クラブとしてそうした価値を価格にも適切に反映しながら、チケット販売を行っていきたいという考えから、一部試合では全席種へのダイナミックプライシングを導入しました。

Q. 一般販売ではなく、ファンクラブ先行販売からダイナミックプライシングを適用した理由を教えてください。

当初は一般販売開始後からダイナミックプライシングを適用していましたが、現在はファンクラブ先行販売開始と同時に価格が変動する運用へ変更しています。

クラブとして改めてファンクラブ会員の皆さまへの特典やメリットを整理する中で、「早く購入すること」に価値があるという考えがありました。

ダイナミックプライシングは、早いタイミングで購入するほど比較的安価に購入できる可能性があります。

そのため、先行販売の段階から価格変動を適用することで、「ファンクラブへ入会し、早めに購入するメリット」をより分かりやすく提供できるようになりました。

価格だけが独り歩きするのではなく、「なぜ変更するのか」を理解していただくことが重要だと考えています。

Q. 個席需要分析に取り組まれた背景を教えてください。

ダイナミックプライシングを運用する中で、クラブ内では以前から感じていた一つの課題がありました。

それは、「同じ席種の中でも、本当にすべての座席が同じ価値なのか」ということです。

例えば、通路側の席やピッチに近い席は人気が高い一方で、同じ席種でも場所によって売れ方には違いがあります。

これまでも担当者の経験から、その傾向はある程度把握していましたが、感覚だけではなく、実際の販売データをもとに客観的に分析してみたいという思いがありました。

また、現在の価格設定はパナソニックスタジアム吹田が完成した約10年前に構築したものがベースとなっており、シーズンごとの見直しは行っているものの、大きな変更はありませんでした。

スタジアムの利用環境や観戦スタイルも変化している中で、現在の価格設計が本当に需要に合っているのかを改めて確認したいという考えもありました。

個席需要分析では、膨大な販売データをもとに座席単位で需要を可視化することができました。

分析結果を見ると、通路側や前方の座席など、これまで担当者が経験的に感じていた傾向が、データとしても明確に表れていました。

一方で、座席によっては想像以上に需要差が見られる部分もあり、これまで感覚で捉えていたものを客観的なデータとして確認できたことは、大きな収穫だったと感じています。

今後はこうした分析結果も活用しながら、より精度の高い価格設計や座席価値の最適化につなげていきたいと考えています。

Q. ダイナミックプライシングや個席需要分析を導入する中で、サポーターへの説明で意識していることはありますか。

価格が変わるということだけを見ると、お客様に驚かれることもあるかもしれません。

そのため、クラブとしては「価格が変わること」よりも、「なぜ価格が変わるのか」をしっかりお伝えすることを意識しています。

需要に応じた価格設定や個席ごとの価格差についても、単純に値上げ・値下げを行うためではなく、それぞれの試合や座席が持つ価値を適切に価格へ反映することが目的です。

一方で、まだ十分に伝え切れていない部分があることも感じています。

例えば、個席ごとの価格差やマイナス価格(値下げ)の仕組みについては、「存在は知っているが活用方法までは理解されていない」というお客様も少なくありません。

今後は制度を導入するだけではなく、その目的やメリットも含めて、より分かりやすく発信していくことが重要だと考えています。

Q. 今後のガンバ大阪での価格戦略は、どのように進化していくと考えていますか。

物価上昇が続く中、スポーツ業界でも価格を見直す流れは今後さらに進んでいくと思います。

一方で、単純に価格を上げ続けることが正解だとは考えていません。

小さなお子さまや学生、ご家族など、幅広い方々にスタジアムへ来ていただき、ガンバ大阪を身近にもっと感じていただくことが、クラブにとって非常に大切です。

そのため、高い価値を提供できる試合や座席では適切な価格を設定しながらも、気軽に観戦できる価格帯も残していく。

お客様それぞれのニーズに合わせた価格や商品を用意し、多様な選択肢を提供することが、これからのスポーツビジネスには求められると思います。

また、価格だけではなく、イベントやギブアウェイなど、観戦そのものの価値を高める取り組みも重要です。

「価格」だけではなく、「どんな体験を提供するか」という視点が、今後ますます大切になっていくのではないかと思っています。

Q. 他クラブや他業界で参考にしていることはありますか。

価格が変わるということだけを見ると、お客様に驚かれることもあるかもしれません。

そのため、クラブとしては「価格が変わること」よりも、「なぜ価格が変わるのか」をしっかりお伝えすることを意識しています。

需要に応じた価格設定や個席ごとの価格差についても、単純に値上げ・値下げを行うためではなく、それぞれの試合や座席が持つ価値を適切に価格へ反映することが目的です。

一方で、まだ十分に伝え切れていない部分があることも感じています。

例えば、個席ごとの価格差やマイナス価格(値下げ)の仕組みについては、「存在は知っているが活用方法までは理解されていない」というお客様も少なくありません。

今後は制度を導入するだけではなく、その目的やメリットも含めて、より分かりやすく発信していくことが重要だと考えています。

Q. ダイナミックプラスに期待することを教えてください。

ダイナミックプラスには、スポーツ業界の知見が集まっています。

だからこそ、一つのクラブだけでは得られないノウハウを共有していただけることを期待しています。

他クラブで成功した取り組みや、新しい価格戦略、データ活用の方法などを知ることは、自クラブの改善にもつながります。

今後も価格戦略だけではなく、データ分析やマーケティングも含めて、一緒に新しい取り組みへ挑戦していけるパートナーであってほしいと思います。

さいごに

ガンバ大阪では、ビジター席からスタートしたダイナミックプライシングを、全席種への展開や個席需要分析へと発展させながら、チケット販売の高度化に取り組んでいます。

今回のインタビューで印象的だったのは、「価格を変えること」が目的ではなく、「試合や座席の価値を適切に価格へ反映すること」、そして「その考え方をお客様へ丁寧に伝えること」を何より大切にされていた点です。

また、販売データや需要分析を活用しながらも、最終的にはファン・サポーターの皆さまにより良い観戦体験を提供したいという姿勢が、一貫して感じられました。

価格戦略は、単なる収益向上のための施策ではありません。クラブが提供する価値を適切に届け、さまざまなお客様に最適な観戦機会を提供するための重要な手段です。

ダイナミックプラスは今後も、クラブごとの考え方や目指す姿に寄り添いながら、価格戦略やデータ活用を通じて、スポーツビジネスのさらなる発展に貢献してまいります。

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