世界銀行は26日、ウクライナでの戦争が1970年代以来で「最大の商品市場ショック」を引き起こすと警告しました。
この日発表した商品市場見通しによると、紛争による混乱は天然ガスから小麦、綿花に至るさまざまな製品で大幅な価格上昇をもたらすそうです。
世銀の上級エコノミストで、報告書の共同執筆者のピーター・ネーグル氏はBBCの取材に対し、価格上昇は「非常に大きな経済的・人道的影響を及ぼし始めている」と語りました。世銀は、エネルギー価格が50%超上昇し、家庭や企業の光熱費が押し上げられるとみています。また、最も値上がりするのは欧州の天然ガス価格で、コストは2倍以上になると見込まれています。来年と2024年には値下がりが予測されていますが、それでも2021年より15%高い水準にとどまるそうです。2020年4月の安値から今年3月の高値まで値上がりは、中東地域の緊張で原油価格が高騰した1973年以来、「23カ月間で最大のエネルギー価格の上昇」だと、世銀は説明しています。
同様に、原油価格も2024年まで高止まりすると予想されています。指標となるブレント原油の1バレル当たりの平均価格は今年100ドルとなり、広範なインフレにつながるとみられています。
ロシアは世界の石油の約11%を生産しており、世界第3位のシェアを持ちます。しかし、制裁によって外国企業が撤退し、技術へのアクセスが減少するため、「戦争による混乱は、持続的な悪影響を及ぼすと考えられる」と報告書に記述されています。
また、ロシアは現在、欧州連合(EU)のガスの40%、石油の27%を供給していますが、欧州各国政府はロシアからの供給から自国を切り離そうと動き出しています。そのため、他の国からの供給に対する需要が高まり、これが国際価格を押し上げる要因となっているそうです。
今回の商品見通しで世銀は、多くの食品価格が急上昇すると警告しています。国連の食料価格指数はすでに、60年前の記録開始以来、最高値を記録しています。
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