急騰が続いていた原油価格が9日、国際市場で一時急落しました。アラブ首長国連邦(UAE)が増産への支持を表明したことが影響しました。
UAEのユセフ・アル・オタイバ駐米大使は、「私たちは増産を支持し、OPECに生産レベルの引き上げを検討するよう勧める」とツイートしました。この声明を受け、国際的な指標となる北海ブレント原油先物価格は9日、一時17%下落、最終的には約12%安で取引を終えました。原油をめぐって、ロシアのウクライナ侵攻で供給に混乱が生じたため、ここ何週間か価格が急上昇していました。原油需要は、新型コロナウイルスのパンデミックで大幅に下がった状況から、リバウンドを見せていました。
価格高騰の影響は世界中の家計に及び、アメリカのバイデン大統領など各国の首脳は、家計の圧迫を緩和すると宣言していました。米当局は原油生産国側と、供給増に向けて交渉していました。産油国のロシアは、世界の原油供給の約7%を産出しているが、ウクライナ侵攻で各国の制裁を受け、原油の買い手を見つけるのが難しくなっています。
ロシア産の原油をめぐっては、アメリカとカナダが輸入禁止を発表、イギリスも年末に向けて輸入をゼロにするとしています。一方、OPECは先週、増産を求める各国の要求をはねつけました。生産量は事前の計画に基づき、徐々に増やすとしました。
こうした動きを受け、原油価格は、ロシアが侵攻を開始した2月24日と比べて30%以上急上昇し、今週は一時1バレル139ドル(約1万6000円)まで上がりました。
国際エネルギー機関(IEA)は最近、6000万バレルの原油を戦略備蓄から放出することで合意しましたが、市場では価格に大きな影響を及ぼしませんでした。IEAのファティ・ビロル事務局長は9日、備蓄からさらに放出する可能性があるとしました。
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