清水エスパルスが進めるチケット販売の進化 「データをもとに意思決定する組織へ」

はじめに

今回は、ダイナミックプラスが提供する「ダイナミックプライシング」を2019年より導入いただいている株式会社エスパルス ブランディング推進本部 本部長 竹田様にお話を伺いました。

ダイナミックプライシングの導入から約5年。価格を需要に応じて最適化する取り組みを続ける中で、クラブ内では価格に対する考え方やデータ活用の文化、チケット販売に対する意識にも大きな変化が生まれています。

また、運用を重ねる中で、データを活用した意思決定や販売分析など、チケット販売そのものの考え方にも変化が生まれています。

今回は、導入の背景や5年間の運用を通じて得られた変化、そして今後のスポーツビジネスやチケッティングの可能性についてお話を伺いました。

Q. ダイナミックプライシングを導入した当時、どのような課題意識をお持ちだったのでしょうか。

スタジアムの収容人数には限りがあるため、クラブとして収益を拡大していくには、一試合あたりの収益をどのように最大化するかが重要な課題でした。

チケットの価値に見合った適正な価格を設定し、限られた座席をより有効に活用するため、ダイナミックプライシングを導入しました。

価格を変えること自体が目的ではなく、試合ごとの需要や価値に応じた価格設計を行うことで、より納得感のあるチケット販売を実現したいという考えが導入の背景にありました。

Q. ダイナミックプライシング導入後、チケットチーム内ではどのような変化がありましたか?

ダイナミックプライシングを導入して最も大きく変わったのは、販売データを日々確認しながらチケット販売を考えるようになったことです。

以前は価格が固定だったため、最終的な販売枚数を見ることはあっても、「どのタイミングで売れたのか」「どの席種の動きが良いのか」といった販売過程を細かく分析する機会はそれほど多くありませんでした。

しかし、価格が変動するようになったことで、販売速度や需要の変化を毎日確認し、それらの実績をもとにオペレーションを考えることが当たり前になりました。

チケット販売を感覚だけではなく、データをもとに継続的に改善していくという意識が、チーム全体に浸透したと感じています。

Q. ダイナミックプライシング導入によって、組織全体にはどのような変化がありましたか?

ダイナミックプライシングの導入をきっかけに、チケットチームだけでなく、クラブ全体でもデータをもとに議論する文化が定着しました。

現在では各試合のチケット販売状況を日次で共有し、チケット担当だけでなく社長をはじめ経営層も日々販売状況を確認するようになり、チケット販売をクラブ全体で考える機会が増えました。

販売枚数だけでなく、チケット単価も重要なKPIとして継続的に追いかけるようになり、価格や販売状況を経営視点で議論する機会が増えました。

価格変更の理由や販売状況をデータで説明できるようになったことで、社内での共通認識も生まれ、より納得感のある意思決定につながっていると感じています。

Q. 今後、ダイナミックプライシングやダイナミックプラスと取り組んでいきたいことを教えてください。

現在は、AIによる需要予測を参考にしながらも、現場での判断を組み合わせて価格を決定しています。このようにデータと人の判断を組み合わせる運用が、現時点では最も現実的だと考えています。

一方で、需要予測モデルや分析手法については、まだ改善できる余地があると感じています。試合ごとの状況や販売傾向など、より多くの要素を取り入れながら、モデルの結果をそのまま採用するのではなく、現場の知見も踏まえながら改善を重ねていくことが重要だと考えています。

そのためには、ダイナミックプラスと継続的に効果検証を行いながら、現場の知見とデータを組み合わせて、より精度の高い価格戦略を一緒に構築していきたいと思っています。

Q. AIやデータ活用について、今後どのような可能性を感じていますか?

AIやデータ活用は、価格戦略だけにとどまらず、クラブ運営全体を支える存在になっていくと考えています。

そのためにはAIを導入するだけではなく、それを活用できる人材や体制づくりも重要です。今後もデータを活用しながら、より良いチケッティングやクラブ経営につなげていきたいと考えています。

Q. 今後のJリーグやスポーツ業界におけるチケッティングは、どのように進化していくと考えていますか?

Jリーグ全体を見ると、価格戦略はまだ発展途上の段階にあると感じています。

今後はスタジアムのリニューアルや新スタジアムの整備が進む中で、座席そのものの価値だけでなく、ホスピタリティや飲食、イベントなどを組み合わせた「体験価値」を提供するチケッティングがより重要になっていくのではないでしょうか。

一方で、ファミリー層や初めて観戦される方にも気軽にスタジアムへ足を運んでいただける環境づくりも欠かせません。お客様ごとに最適な価値を提供できる価格設計や商品づくりが、これからのスポーツビジネスには求められると思います。

チケットを単に販売するのではなく、その先にある観戦体験全体の価値を高めていくことが、Jリーグ、そしてスポーツ業界全体のさらなる発展につながっていくと考えています。

さいごに

ダイナミックプライシングの導入をきっかけに、清水エスパルスでは価格戦略だけでなく、販売データを活用した意思決定の取り組みへと進化してきました。

運用を重ねる中で、価格戦略だけでなく、販売データの見方やチケットが持つ価値そのものについて、新たな気づきが生まれています。

また、担当者の経験や感覚として蓄積されていた知見をデータとして可視化し、組織全体で共有できるようになったことも、大きな成果の一つです。

スポーツビジネスを取り巻く環境が変化する中、チケッティングに求められる役割も、単なる販売業務からクラブ価値を高める戦略領域へと変わりつつあります。

ダイナミックプラスは今後も、クラブの皆様とともに価格戦略やデータ活用を進化させながら、より良いチケッティングの実現と、スポーツ業界全体の発展に貢献してまいります。

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