ここ数週間でハンバーガーは高くなっているかもしれないが、奇妙なことにトッピングのチーズの価格は、実は安くなっているようです。
これはアメリカ最大級の乳製品会社であるウィスコンシン州のシュライバーフーズ(Schreiber Foods)が、2021年10月23日にサイバー攻撃を受け、業務を中断させられたことが一因になっています。
ウィスコンシン・ステイト・ファーマー(Wisconsin State Farmer)によると、ハッカーとされる人物は、同社の施設でミルクやチーズの供給を制御するコンピューターシステムをロックし、解除するために250万ドル(約2億8500万円)の身代金を要求したといいます。
シュライバーフーズ広報担当者はInsiderに対し、サイバー攻撃は同社の全拠点に影響を与えましたが、「専門の対応チーム」が直ちにこの問題に取り組み、5日後には生産と出荷を完全に再開したと発表しています。
シュライバーフーズは特にサンドイッチやハンバーガーのトッピングによく使われる黄色いチーズに強みを持っており、現在、実に約75%の市場シェアを占めています。
また、同社の影響力を示すもののひとつにバレルチーズの価格があります。バレルチーズとは、スライス、パウダー、ソースなどのチーズ製品の加工用に販売されている重さ500ポンド(約226キログラム)単位のチーズです。
アメリカ農務省(USDA)のデータによると、バレルチーズの価格は2021年の最高値である10月22日までの週の1.85ドル(約211円)から、11月16日の週には1.46ドル(約167円)にまで下落しており、シュライバー社へのサイバー攻撃による混乱が市場に大きな影響を与えたと考えられています。なお、サイバー攻撃を受ける前、バレルチーズは牛乳代の高騰もあって価格が上昇していました。
この事件は、2021年の夏にブラジルの食肉業者JBSが同様の大規模なサイバー攻撃を受けたことに続くもので、食肉市場に混乱をきたし、アメリカの食糧供給を支えるデジタルインフラの脆弱性を浮き彫りにしています。
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