【ダイナミックプライシング 野球事例】38,500席が1席単位で15分ごとに価格を変える。次世代チケット販売システム③

本日は、弊社がプロ野球の福岡ソフトバンクホークス様に向けて提供している38,500席が15分毎に1席単位で価格を変えるという、次世代のチケット販売システム実現の裏側について、このプロジェクトに関わった人たちの視点に分けて合計4編でお届けします!

今回は、第3回で実際に全席に価格を算出するアルゴリズムを構築したデータサイエンティストの大日方さんと西村さんにお話をお伺いしました。

Q.福岡ソフトバンクホークス様の今回のシステムと従来のモデルではどのような点で異なるのでしょうか?

今回のシステムと従来のものでは主に

①販売開始価格 ②算出時間感覚 ③個席毎の算出

の3点で異なります。

Q.ここの販売開始価格とはそもそもなんでしょうか?

販売開始価格とは、その名の通りチケットを売り出した時の価格となります。DPを導入した試合だとチケット価格は売り出した後の日々の販売実績も考慮され変動しますが、実際に売り出す前の価格は販売開始価格であり、売り出したときのデータを反映することができません。

売開始価格が需要を上回る価格で設定してしまうと、ファンの方々は購入を控えてしまいます。一方で需要を下回る価格で設定してしまうと、極端な例だとチケットの即日完売から二次市場に流通し、高額転売の問題などが起きてしまいます。ですので慎重に価格設定をしなければいけません。

Q.販売開始価格はどのように定めるのでしょうか?

チケットの抽選販売期間における各席種への抽選応募数を弊社が独自に作成した人気度指標による数値に換算し、フレックス価格(試合ランクに応じてホークス様が決定した価格)に人気度を反映させた販売開始価格を算出しています。

Q.次に算出時間間隔についてお伺いします。15分という短い算出間隔に対応するためにどのようなアプローチをとったのでしょうか?

15分単位の価格算出のため、過去のデータから15分単位での売上予測モデルを新たに考案しました。具体的には、15分単位で予測と実績の売上枚数を比較し、現時点での価格の妥当性を判断して価格を変動させています。

また、短い時間間隔での算出となることより、サーバへの負荷の増大が考えられるのですが、負荷を軽減するために、一定値以下の微小な価格変動が推奨される場合には価格を変動させない。などの工夫があるようです。

Q.最後に1席単位での価格算出の実現についてお伺いします。席種毎のモデルと個席毎のモデルの違いは何があるのでしょうか? また、1席毎にどのように最適な価格を決定しているのでしょうか??

従来のモデルはS席やA席といった席種毎に価格を算出したのですが、今回のシステムでは38,500席において1席単位で価格が算出される点が異なります。

また、1席毎の最適な価格の決定のために、従来のモデルに個席毎の需要に応じて重みを加えました。興行主さんのチケットの販売実績のデータを頂き、そこから得た需要に応じて設定しています。

本日は、このプロジェクトにデータサイエンティストとして携わった大日方さん・西村さんからお話を伺いました。ありがとうございました。

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