今年4月にはコロナがこれほどホテル業界に大打撃を与えると誰が想像出来ただろうか?今やコロナの広まった状況で適切に経営の舵取りをする必要にホテル事業者は迫られている。その上で大事になるのが価格戦略である。特に3つの大事な方針をここで示そう。
憶測作りばかりしないこと
(ホテル専門家である)私は最近多くの関係者からコロナからの回復シナリオに関するウェビナー依頼を受ける。しかしながら、このような前例のない流動的な状況において誰が”最もらしい推測”を出来るかは意味を為さない。たとえ過去20年のデータを集めても、9.11同時多発テロや2008年世界金融危機は今回の事例と共通項はゼロに等しい。コロナがどのように収束するかという専門家にさえ分からない質問を考えるよりは、どのように経営引き締めを図るかを考える方がよっぽど有効な時間の使い方と言える。
ダイナミックプライシングか死か
今まで使用されてきた繁閑期ごとのレートはもはや使い物にならない。これからは全く新しいパラダイムに突入しつつあるため、1から価格設定を練り直すことが重要となる。そうした時期だからこそダイナミックプライシングに切り替える好機と言えるだろう。適切な価格設定には、事業存続に必要な手元資金・競合価格・需給バランス・外部要因などをリアルタイムで分析することが求められる。
直感に引き釣られ無い収益の追求
ホテル業界には2つの廃れた考えがある。その一つが価格低下が、”質の低い宿泊客”を呼び込むというものだ。ただ本当にそうなのだろうか?。例えば数ヶ月前の年末年始に宿泊客であった客層は恐らくコロナ
によって財布の紐が厳しくなっている。だが、彼らに従来よりも多少低い価格をオファーしたとしても宿泊客の質の低下は起きないはずだ。直感的に価格低下は客層の悪化を招くと思いがちだが、これは今や誤りと言えるだろう。2つ目に、ホテルレートを下げると平均客室単価を元に戻すのに数年かかるという言説がある。これも誤りだ。ダイナミックプライシングを導入すれば、顧客の需要回復に呼応して価格帯がすぐ適切な水準に戻る。よって、このような懸念は無用となる。
最後に、私は現在行われるべきことは最低限の収益確保だと信じている。その際に過去のデータや他の事業者を拠り所にすると、誤った結論を招きかねないということを留意しておきたい
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