公正取引委員会は3月31日、アルゴリズムや人工知能を通じた複数の企業による価格調整はカルテルに相当し、独占禁止法違反になる恐れがあるとの報告書を公表しました。
この報告書ではDXやECの進展に伴い、多様な目的で価格調査や価格設定のアルゴリズムが用いられるようになっていくことで、価格競争が活発になる一方、その利用の仕方によっては協調的な価格設定につながり、デジタルカルテルが形成される可能性があると指摘されています。
ここで問題とされているデジタルカルテルには先行研究から主に以下の4つの類型があるとされています。
①Messenger型:アルゴリズムなどをコミュニケーションの手段として用いることで生じるカルテル。競争事業者間の意思連絡が存在していることを前提としていて、例えば、とある会社が他の競合会社と販売価格を引き上げるアルゴリズムを共同で利用することで価格合意が形成されることが例として挙げられる。
②Hub and
Spoke型:Messenger型と異なり、競争事業者間にコミュニケーションはないが、それら以外の第三者が媒介者となり価格のつり上げがなされる。
③Predictable Agent型:各事象者が独自に、競争の制限を意図して他社の価格行動を察知し、自社の利益の最大化を目的として価格決定を行うこと。
④Autonomous Machine型:大枠ではPredictable Agent型と一致しますが、Predictable Agent型と異なる点として「他社の価格行動を察知して黙示の協調行為を行うためにアルゴリズムを用いる」という主観的な意図を欠いたカルテルのこと。
今後、さらなる関連技術の進化に伴う価格設定の変化に関しては当社としても引き続き注視していく必要があると言えます。
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