レバンガ北海道が取り組む価格戦略―「価値を高め、その価値に見合った価格を届ける」

はじめに

レバンガ北海道は、りそなグループ B.LEAGUE 2025-26 SEASONにダイナミックプライシング(以下、DP)の本格的な導入を開始しました。

今回は
株式会社レバンガ北海道 マーケティングディビジョン チーフマネージャー 久慈 健太 様

株式会社レバンガ北海道 マーケティングディビジョン チケット/ファンクラブ 高野 蓮汰 様

2名に導入に至った経緯についてお話いただきました。

Q1. ダイナミックプライシング導入前の価格設定はどのように行っていましたか?

主に「過去の販売データ」と「対戦カード」をもとに価格を設定していました 。 例えば、多くのお客様にご注目いただけるカードと、招待やスポンサー配布が多い試合ではどうしても稼働率が異なるので、その需要のバランスを見ながら調整を行っていました 。

また、シーズン前に試合ごとに「フレックス価格」を設定し、あらかじめ価格レンジを決めて運用していました 。さらに、「中央のブロックはより多くのお客様に選ばれやすい」という仮説のもと、座席の位置に応じた価格差をつける設計も行っていました 。

Q2. 当時感じていた課題は何でしたか?

最も大きかったのは、「その価格設定が、本当にお客様にとっての適正な価値を示せているのか分からない」という点でした 。 一定のロジックや過去データに基づいてはいたものの、「もっと高い価値を感じていただける試合があったのではないか」「逆に、価格がハードルとなって観戦の機会損失を生んでしまっているのではないか」という不確実性が常にありました 。

チームの価値向上と、ファンの皆さまに心から納得いただける価格設定の両立を目指す中で、自分たちだけの感覚で適正価格を見極めることには限界を感じていました 。

Q3. 導入を検討した背景は何ですか?

クラブが持続的に成長し、より魅力的なチーム作りや観戦環境への投資を行っていくために、チケット収入を最大化させたいという想いがありました 。 従来のフレックス価格では一律の上限・下限が見えてしまっており、お客様がご来場しやすいよう柔軟に価格を変更することへの対応が難しいという課題がありました 。

お客様のニーズに合わせ、より細やかに「その時々の最適な価値」を価格に反映できる手段として、DPの検討に至りました 。

Q4. 導入前に感じていた懸念はありましたか?

主に2点ありました 。

1つ目はオペレーション面で、初めての取り組みゆえに運用が複雑化し、ご案内に支障が出ないかという不安です 。

2つ目は価格の変動に際し、観戦のハードルが高くなってしまったりしないかという点は非常に深く議論しました。

Q5. 実際に導入してみてどうでしたか?

オペレーションについては、既存の業務フローの延長でスムーズに対応でき、大きな混乱はありませんでした 。

一方で、シーズン序盤(10〜12月)は、私たちの提供するチームの価値の伝え方が不十分だったこともあり、試行錯誤しておりました。しかし、チームの成績向上だけでなく、「なぜこの価格なのか」という価値訴求を丁寧に継続したことで、ファンの皆様にも仕組みへの理解をいただけるようになってきたと感じています。

Q6. 現在の運用方法を教えてください

シーズン前に基準価格を設定し、販売開始後は日々の状況をAIが分析して価格を算出しています 。 ただし、完全にAIに任せるのではなく、日々の売れ方の違和感や、招待席とのバランスなどを現場のスタッフが毎日確認し、「現場の感覚」と「データ」を見極めることで、お客様にとって不条理な価格変動が起きないよう運用しています 。

Q7. 導入後に得られた成果は何ですか?

「その試合の価値に見合った、適切な運営の実現」と、「データに基づく客観的な意思決定」ができるようになったことです 。 特に、チームの好調さや話題性といった外部要因を踏まえ、そこで得た収益を次のクラブの成長へと還元する好循環が生まれつつあります 。

Q8. データ面での変化はありましたか?

これまでは仮説ベースだったものが、データによって明確に裏付けられるようになりました 。

例えば、「中央の席が必ずしも最優先で売れるわけではない」「高単価であっても、よりコートに近く迫力のある席が選ばれる」など、これまで見えていなかったニーズが明確になりました 。

「お客様は単に価格の安さだけで選んでいるのではなく、そこでの見え方や『体験価値』を大切にされている」ということがよりはっきり分かったのは大きな収穫です 。

Q9. ファン・マーケティングへの影響は?

ファンクラブ(FC)施策との相性が非常に良かったです 。

価格が変動するからこそ、「先に買えるFC会員の方が、より確実にお好みの席を選べる」という早期購入のメリットを明確に提示できるようになりました 。

これがファンクラブへの入会動機の一つにも選ばれています 。

Q10. 今後の方針を教えてください

今後はチケット単体で価格を考えるのではなく、グッズや飲食、そしてアリーナでの「来場体験」すべてを包括した全体設計の中で、お客様に最高の一日を過ごしていただけるよう、観戦価値を最大化しながらその価格に納得していただけるような運営に努めていきたいと思っています。

Q11. ダイナミックプライシングの価値はどこにあると感じますか?

単に「価格を変動させること」ではなく、
「その時々の状況における最適な価値を、適切な価格でご提案できること」にあり、変化する様々な要因に合わせて柔軟に価格を調整できることです。

Q12. 他クラブへの示唆があれば教えてください

DPは単なるシステムではなく、お届けするコンテンツの価値や、日々のマーケティング施策と組み合わせてこそ最大の効果を発揮します 。

状況変化に柔軟に対応し、ファンの皆様へより良い観戦体験を提供し続けるための強力なツールとして、導入する価値は大きいと考えています 。

まとめ

レバンガ北海道におけるダイナミックプライシング導入は、単なる価格調整の仕組みではなく、「どの席にどんな体験価値があるのか」「データをもとにどうお客様に向き合うか」という、チケット戦略の根本を見つめ直す取り組みでした 。

  • データに基づく需要構造の可視化と、お客様の「体験価値」への転換
  • データドリブンな意思決定による、より精度の高いクラブ運営
  • チケット・体験・収益を一体で捉え、ファンの皆様へ還元する戦略設計

ダイナミックプラス株式会社は、今後もクラブの価値最大化に向けた取り組みを支援し、スポーツビジネスにおける持続的な成長と、新たな観戦価値の創出に貢献してまいります。

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